うまみ(女)の記

連載:先天性の難病を持つムスメ⑩母、怒りのエアウェイ挿管、そして退院へ(GCU)

うまみ(女)の記
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退院の条件

その後、新しい鼻用の「経鼻エアウェイ」挿管も無事完了したうまみは、特に熱を出すこともなく、GCUで順調に育っていった。

そもそも退院するにあたり、体重的には問題なかったので、退院のめどとしては「在宅看護が問題ない状態であること」だった。

問題ない・・・とは・・・

母が経管栄養チューブの挿管・ 経管栄養の手順をマスターしていること

まず、ミルクが充分な量口から摂取できないうまみにとって「経管栄養チューブ」の存在は必須だった。

この「経管栄養チューブ」は、度々抜けてしまう事(毎日抜いてしまう子もいるそうです)と、抜けない場合でも細いチューブ内にミルク等が固まり詰まる&胃に到達している個所が胃液によって劣化し、ミルクが注入できなくなる事から、長くても2週間での交換は必要だった。

抜管・挿管の為に、度々病院へ足を運ぶわけにもいかない&医師の対応もできない為、自宅での挿管が必要となり、母親だけでなく、父親も挿管練習が行われた。(実は夫も練習していた)

最低でも2人は経験しておかないと、何かがあった時(母親が不在など)に困ってしまうかららしい。

ありがたいことに、うちの場合は病院が「訪問看護」を紹介してくださったので、何かあった時は「訪問看護」の方にフォローしてもらえることになった。

入院生活も気が付けば、出産から約半年が経とうとしていた。
私自身、何カ月もこの「経管栄養チューブ」「経管栄養の手順」の練習をしてきていたので、毎回心は痛むものの、挿管自体は難なくマスターすることができた。

呼吸状態に問題がないこと

これは本当に微妙なラインだった。

うまみの場合、経鼻エアウェイの挿管により、呼吸状態は以前に比べると劇的に改善していた。
病院では 、常に「酸素モニター(血中酸素濃度計)」を付けているので、その状態を目で確認することができたが、家に帰ってからは心配なところだった。
なぜなら、改善したとはいえ、時々この値(サチュレーション)が50台~60台になることもあったからだ。(健康な状態の人で、100~98)

サチュレーションが下がると、チアノーゼが出ることもあるので、日中は顔色を見て判断もできるのだが、この状態では睡眠中が特に心配でたまらなかった。
また、経鼻エアウェイの吸引中に下がることもしばしばあったので、その心配もあった。

医師に相談したところ、
「今のうまみちゃんの状態では、この酸素モニターを保険適用で購入すること・レンタルすることはできないんです。経鼻エアウェイだけだと、難しいんですよ。
残念ですが、必要であれば自費購入となりますが、10万程度は考えておいてください。」

そう言われてしまった。

重度の状態でなければ、保険がきかないというのは普通の事だが、うまみの場合いくら難病であっても、呼吸状態がまだ不安定な時があったとしても、気管切開をしていないというだけで、保険適用外にされてしまうのだ。

うまみには気管切開をすすめられたが、なんとか喉に穴をあけたくないという事で、経鼻エアウェイを挿管することになったという経緯があった。
なんだか複雑な気持ちと、納得のいかない気持ちが入り混じった。
「経鼻エアウェイ」はグレーゾーンのような立ち位置なのだろう。

そうは言っても、やはり酸素状態を確認することは不可欠だと判断した私は、この酸素モニターを自費購入することになった。

経鼻エアウェイの吸引をマスターしていること

こちらも、長い入院期間の間、何百回と吸引してきたので問題なくマスターできた。

ただ・・・この「吸引器」もうまみの場合、保険適用外でして・・・。
普通に考えて、「経鼻エアウィ」を挿管している子にとって「吸引器」は必要不可欠なものなので、当然保険適用だろうと思っていたのですが、「酸素モニター」同様の理由で、「経鼻エアウェイ」程度では保険適用できないとの事でした。

理不尽・・・あまりに理不尽・・・

本当に憤りましたが、もうどうにもならないので、こちらも自費購入
吸引器本体だけでも高いのに、その他吸引用カテーテルやらなんやら、吸引に必要なアイテムを買い揃えると、軽く10万円は超えてしまいました・・・。

母が経鼻エアウェイの挿管をマスターしていること

これには驚いた。

当初、医師は私に
「経鼻エアウェイは詰まることがなければ入れ替えはほとんどいらないので、月に1度診察に来られた時に、私が挿管します。」
そう言われていた。

「え?先生が入れてくれるんじゃなかったんですか!?」

思わず責めてしまった。

「ええ、初めはそのように考えていたんですが、うまみちゃんの場合、今、結構な頻度で詰まっていて、2~3日で詰まることもあるでしょう?
今の状態だと、そのたびに病院へっていうわけにもいかないでしょう。
それに、私が病院にいる時間でしたら夜間であってもいつでも対応させてもらうんすが、他の医師の場合だと、エアウェイ挿管に慣れていない医師もいるので、お母さんが練習して出来るようになった方がいいんじゃないかと思うのですが・・・。」

そう言われてしまうと、もはや返す言葉もない・・・。

本当に憂鬱でたまらなかったけど・・・
仕方なく、私はうまみのために、自ら「経鼻エアウェイ」を挿管するという事を了承した。

ついに母自ら「経鼻エアウェイ」を挿管

今振り返っても、これが今までのうまみの看護の中で、一番きついものでした。

すでに、医師が挿管しているのを何度も見てきたし、私がうまみを抑えつける役割もしていた。

でも、何度やっても慣れないし、辛いし、本当にうまみが可哀そうで、申し訳なくて、毎回心の中で謝り続けていた私にとって、一番残酷な事だった。

うまみの鼻腔は、他の赤ちゃんに比べ狭く、入りにくいようで、毎回医師ですら手こずっていたため、本当に素人の私に挿管ができるのか不安でたまらなかった。

はじめての挿管前、医師が言った。

「お母さん、大丈夫です。私が付いていますから。
落ち着いてやってください。もし、難しいと判断したら、私が代わりますから。」

その言葉を聞いて、初めての「経管栄養チューブ」の挿管の時を思い出した。
そうだ、何かあっても、ここは病院。
医師も付いていてくれるし、大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、ついに自らの手での「経鼻エアウェイ」の挿管が始まった。


うまみ「ぎぃやあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

医師「お母さん!!もっと!!!もっと奥までグッと力入れて!!!」

私「はい!!」

うまみ「ぅぅあああああああぁぁぁぁ!!!」

医師「お母さん!!もっと!」

私「はいっ!!!えっ!?先生!!血がっ!!」

医師「大丈夫です!すぐ止まりますから!はい!もっと押し込んで!!」

私「はい!でも・・・入らないんですけど!!」

医師「もっと力入れて!グイっと!!ほら!!」

私「はいっ!結構力入れてますけど、押しても戻ってくるんですけど!?」

うまみ「ぎぃやああぁぁぁぁぁ!!!」

私「うまみ・・・ごめんね!!!もうちょっと頑張って!!」

医師「もっと!もっと!!!そこ!!」

私「・・・・」

医師「ほら!もっと!」

私「・・・プチン(キレた)・・・・はぁ!?力入れてますけど!?(# ゚Д゚)

医師「・・・・・・・・・。すみません、つい・・・。」

うまみ「ぎぃやああああああああああああああ!!!」

そして・・・流血しながらも・・・なんとか無事挿管が完了した。

お判りいただけただろうか。この母のキレた気持ち・・・。
そう、医師は悪くないけど・・・。

一生懸命震える手に力を込めて挿管するも入らず、娘が泣き叫ぶ姿を間近で見ることになり、自らの手に力を込めれば込めるほどにうまみは反応して泣き声を荒げる・・・。

早く挿管して楽にしてあげたいという焦りと、うまみに対する申し訳なさの狭間で葛藤し、それでも必死に立ち向かう母・・・。

と、その横で「もっと!もっと!!」とうるさく指示を出してくる医師・・・。
わかっとるわ!!わかっとるけど、入らんねん!!しゃーないやろ!!(怒)
そんな思いから、つい私も医師にキレてしまいました

それからというもの、なんとなく医師の私に対する対応が遠慮がちになったように思います・・・。
なんか・・・すみません・・・いつも一生懸命にしてくださっているのに・・・。

さて、次回はついに1週間の母子同室を経て退院!のお話です。

読んでくださっている方へのメッセージ

今まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました!
これまで、辛く悲しいお話ばかりだったので、気分も落ちてしまった方もいるかもしれませんが、ここから徐々に明るいお話&うまみが無邪気に成長していきます。

今までのお話を知っているからこその感じ方があると思います。

※現在の様子は、インスタに漫画投稿しているので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、順調に元気に育っています。(漫画では経管栄養チューブは書くのが大変なので書いてませんが、実際は入ってます(笑))

障害のある子を育てるご両親、健康な子どもを産んで育てているご両親、みんな同じ親です。
我が家は健康に産まれてきてくれた長男うまもと、難病を抱える娘うまみの2人の育児に日々奮闘しています。

皆同じ「親」というカテゴリーに属していますが、育児は世界に同じものは一つとしてなく、みんなそれぞれに苦難を乗り越えて、日々育児に向き合っていると思います。

そんな数えきれない程たくさんの育児の中で、たった一つの私の育児体験で、何か心に残るもの、我が子に思う事、健康であることのすばらしさ、大切さをお伝え出来たらうれしいです。

是非今後の連載も、母親目線で優しく見守っていただけると嬉しいです。

なんか終わりっぽいけど、この連載はまだまだ続きますよー!
今後とも宜しくお願い致します!

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