うまみ(女)の記

連載:先天性の難病を持つムスメ⑫気がかりは長男うまもの事

うまみ(女)の記
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たくさんの『はじめて』

5カ月以上のNICU~GCU入院を経て、初めて本来自分がいるべき場所『我が家』へ帰ってきたうまみ。

退院して、はじめて外の風を浴び、はじめて外の空気を胸いっぱいに吸い込み、はじめて我が家の車に乗り込んだうまみは、すべての「はじめて」に、目をキラキラとさせて、興味津々な様子でした。

私はというと・・・
なんだか不思議な気持ちと、うれしい気持ちと、ちょっぴり不安な気持ちと・・・。

お兄ちゃんの時みたいに新生児ではない月齢での退院。
普通だったら、この世に生を受けて、約1週間ほどで外の世界を見ることができたはずなのに。
うまみは、体重4kgを超えた生後5か月で、ようやく外の世界を見ることができたのだ。

ずっと病院の中で、ほぼ無菌状態で生活してきた我が子が、外の世界にいきなり出て大丈夫だろうか?
風邪をひかないだろうか?
お兄ちゃんは・・・本当にこの子を・・・チューブの付いたうまみを心から可愛がってくれるだろうか・・・。

お兄ちゃんの存在と、母の葛藤

実は・・・お兄ちゃんうまも(当時6歳)は、うまみが入院中、ほとんど面会に来ていなかった。

幼いながらに、NICU、GCUの雰囲気が受け入れられなかったようで、周りのお友達の妹・弟とは明らかに違う、自分の妹の姿に、困惑していたようだった。

うまもは、うまみと同じ5カ月のころは、私の仕事が多忙だったため(当時は会社員)すでに保育園に通っていて、小学校に上がるまでの間に、保育園で赤ちゃんを見ることは珍しくない状況の中で育っていた。
むしろ、私よりたくさんの赤ちゃんを見てきたはずだった。

初めてうまみを見た時、うまみは保育器の中で、いまよりもっとたくさんのチューブを付けていた。

「ママ・・・なんでオレの妹はこの中(保育器)入ってるん?
なんでこんなにいっぱい(チューブや機械が)ついてるん?」

母は困惑してしまった。

「うまみはね、小さく産まれてきたから、まだお外に出られないんだよ。
大丈夫、大きくなったらこの機械も、チューブも取れるからね。」

そう話していたが、結局退院までにチューブが完全に取れることもなく、おまけに追加の経鼻エアウェイまで付いてしまった。

うまみの病気を知ってから、私はたくさん色んなことを考えた。

もちろん、お兄ちゃんうまもの事も。

うまみが産まれたとき、うまもは6歳。
まだまだ子供で、きっとこの病気の事を話しても、理解することは難しいだろう・・・。

なぜチューブが必要なのか、なぜミルクを飲めないのか、なぜ酸素モニターを付けなくてはならないのか、なぜ鼻にエアウェイが入っているのか、なぜ・・・なぜ・・・

きっとうまもに、たくさんの「なぜ」をぶつけられるだろう。

その度に、うまもにわかるように説明しなくてはならない。
決して「難病」であることを隠すつもりはないし、大きくなればちゃんと話すつもりでいる。
でも、今は時期じゃないと思った。
なぜなら、理解が難しい事と、話すことで私は涙をこらえる自信がなかったからだ。
うまもは優しい子だから、きっと母の涙を見て、ただ事じゃないと悟るだろう。
きっと、自分の妹は「普通」ではないのだと再認識するだろう。

そう思うと、言えなかった。

認めたくなかったのかもしれない。

うまみは、難病で産まれてきたけど、「普通」なんだ。

「普通」じゃないって、否定されたくなかった。
そう思ってほしくなかった。

だから、うまもに妹を受け入れてほしい、かわいがってほしい、「普通」に妹なんだって思ってほしい。

「普通」

その言葉がどれだけ恵まれているか、どれだけ私を苦しめたかわからない。

うまもには、妹はみんなよりミルクが飲めないこと、みんなよりちょっとだけ息をするのが難しいこと、みんなよりたくさん気にかけてあげないといけないこと。それだけはしっかり伝えた。

うまみが退院した時、うまもはちょうど小学1年生になったばかりだった。

参観日、旗当番、習い事・・・
きっとうまみを連れて行かないといけないこともたくさん出てくるだろう。

そのたびに、うまもを苦しめるのではないか?

「お前の妹、なんか鼻についてる。」

「お前の妹、なんで線(チューブ)が出てるん?」

「お前の妹、なんか違う。」

そんな風に、もし周りの子に指摘されたら・・・。

そう思うと、胸が締め付けられた。

子どもは純粋な生き物で、思ったことをフィルターを通さず直に口から発する。

何気ないその一言で、うまもが傷ついたりしないだろうか・・・。

「オレの妹は”普通”じゃない。」

って思わないだろうか・・・。

退院は喜ばしいことで、本当にうれしかったのだが、お兄ちゃんうまもの事だけは、どうしても払しょくできず、どうしたものかとずっと頭を悩ませていた。

さすがお兄ちゃん

私のそんな心配をよそに、お兄ちゃんうまもは、さすがというべき対応だった。

うまみが入院中、面会に行く度

「うまもも一緒に行こ?」

と誘うも、

「オレはいい。」

を繰り返していたうまも。

退院してから、うまみを妹として、家族の一員として、迎えてくれるか不安でいっぱいだったが、いざ家へ着くと・・・

「うまみ・・・オレの妹・・・かわいい。」

そういって、うまみに笑いかけてくれたのだ!!

この時は安心と感動とで、思わずウルっときてしまった。

「そうだよ、うまもがずっと欲しいって言ってた兄妹だよ!妹だよ!!」

そう言って私も泣き笑いしたのを今でも覚えている。

それからというもの、お兄ちゃんうまもは、妹うまみにべったり。

「うまみは小さくて、かわいくって、自慢の妹!」

そういつも褒め倒してくれるもんだから、私も心が救われた。
今でもかなりのシスコン野郎です(笑)

ただ、やはりお兄ちゃんもまだ小学1年生になったばかりで、環境の変化から、今まで以上に甘えん坊になってしまった。

今まで毎日私と寝ていたのに、毎日パパと早めに就寝。
私がうまみに付きっ切りになってしまったもんだから、ストレスがすごいことになってしまった・・・。

その点は、本当に大変だった。

毎日私がうまみの看護しているのを見ては、

「ママ、それ(吸引)なんでやるん?」

「ママ、それ(酸素モニター)なんでつけるん?」

「ママ、ミルクっていつまでそれ(経管栄養)やるん?」

「ママ、それ(エアウェイ)いつとれるん?」

『なんで』のオンパレードの毎日(笑)
まぁ、妹に興味を持ってくれることは、喜ばしい事である。

そのたびに、毎回ちゃんとわかるように説明した。

母の心配は尽きないけど、とりあえずはお兄ちゃんうまもは大丈夫そうだ。

そして、次回いよいよ想像以上に大変だった在宅看護について書いていきます。

つづく

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