うまみ(女)の記

連載:先天性の難病を持つムスメ⑧衝撃の経鼻エアウェイ挿管レポ(GCU)

うまみ(女)の記
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吸引練習

「経鼻エアウェイ」を挿入し、うまみが高熱を出したりいろいろあったけど、なんとか落ち着いたころ、私の吸引の練習が始まった。

ここで言う「吸引」とは、うまみの鼻から気管手前まで挿管された経鼻エアウェイの中(要するにチューブ内)に、鼻水などの分泌物が溜まるので、それが乾いて固まって、チューブ内の空洞を塞いでしまわないようにするために行うもので、細い「吸引カテーテル」を用いて吸い出すことです。
エアウェイの穴が詰まってしまうと、空気の通り道が塞がるので、一回抜いて洗浄し、もう一度入れ直すことになります。(後で書きますが、これがかなり壮絶・・・)

うまみのベッドの横に設置されている病院用の吸引機のチューブの先に、この「吸引カテーテル」を装着し、エアウェイの中に溜まった分泌物を吸い出さなければならない。
この吸引はただ単に、吸引チューブを入れて出すという単純な作業ではなく、なかなかテクニックも要する。
慣れればコツをつかめるようになってくるのだが、はじめはコツがつかめず、エアウェイが詰まっている音がするにも関わらず、何回吸引しても吸えないので苦労した・・・。

また、この「吸引」作業は、うまみの場合、分泌物が多く、詰まりやすいので30分に1回は必要(夜間も)だった。
私がいる間は私が、いない時間は看護師さんが代わりにやってくれていた。

私の場合は、ずっとうまみに付きっ切りなので、こまめに吸引してあげられるのだが、看護師さんの場合はそうはいかない。こまめに気にしてくれる看護師さんもいれば、2時間~3時間放置している看護師さんもいるそうだ。(後日、仲良くなった看護師さんが教えてくれた)

看護師さんも忙しいので、今は責めるつもりはないが、当時の私は必死だったので憤った・・・。

その後も、いろいろと看護師さんから指導を受け、なんとかスムーズに吸引することができるようになってきたが、問題は山積みだった。

経鼻エアウェイ挿管を目の当たりにする

経鼻エアウェイが予想以上に詰まりやすいという事には、かなり苦労した。

経鼻エアウェイをはじめた頃は、ほぼ毎日詰まっていて、私も面会に行ったときはこまめに吸引していたが、なかなか簡単にはいかなかった。

エアウェイが詰まれば、すぐに抜いて、洗浄し、再び挿管することになる。

はじめてエアウェイの挿管を見た時の衝撃といったら・・・。
はじめて挿管する際、看護師さんが「お母さんは見ない方がいい」と言った意味がすぐにわかった。

「経管栄養チューブ」とは全く比較にならない程、うまみは泣き叫ぶ。
うまみのベッドの周りには目隠しのカーテンがひかれる。
相当ひどい状況になるので、他のお母さんには見せないようにとの配慮だろうか・・・。

音声を聞くだけでもひどいのがわかるはずだ。
顔をこれでもかというぐらいシワクチャに歪め、真っ赤になり、涙を流して泣き叫ぶうまみ・・・。
大声を出しすぎてむせ返り、顔を左右に振り、手足をばたつかせ必死に抵抗する・・・。

「ぎぃやあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

それを看護師が2人がかりで押さえつける・・・。そして、そこに医師がエアウェイを挿管するのだが、見ているだけで息ができない程苦しくなり、胸が詰まり、瞬きすら出来ない。
愛する我が子が苦しみ抵抗する姿を見ながらも、どうにもしてあげられないつらさ、無力感・・・そしてなんとも表現のできない気持ちでいっぱいになり、 手が震え始めた・・・。
動揺し私も顔が真っ赤になり、心配で心配でかわいそうで・・・気が付くと私も泣いていた。

エアウェイ挿管は、医師の手でも容易ではなく、うまみの鼻の奥が狭いため、すんなり入ることはない。
鼻の穴に入れてはグッと力を込め、奥に押し込むようにするのだが、その度にうまみはさらに声を張り上げ泣き叫ぶのだ・・・。

それを何度も何度も繰り返し、出血しても繰り返し・・・

そうして、何度もやっているうちになんとか挿管できたのだが、もう見てはいられない状況だった。

挿管後は、看護師によってエアウェイが抜けないようにテーピングされるのだが、それもまた痛々しい。

全ての処置が終わると、私は急いでうまみを抱っこした。

こんなに小さいのに、何度も何度も痛い思いをさせてしまってごめんなさい・・・。
ママが変わってあげられたらよかったのにね・・・・できなくてごめんね・・・
ママの腕や足が1本なくなって済むなら、そうしてあげたい。
私の命何年分かと交換できるなら、交換してあげたい。何年分でもあげる。全部あげてもいい。

神様、どうか、もうやめてください。
何だってしますから・・・うまみは何も悪くない・・・。
私が全部変わるから・・・お願いします・・・。

うまみ・・・ごめんなさい・・・何もできなくてごめんなさい・・・
こんなつらい事ばかり我慢させて・・・・
本当に・・・・ごめんなさい・・・・。

何度も何度も心の中で謝りました。

「お母さん、障害は、だれが悪いわけでもないし、原因も誰にもわからないのだから、絶対に自分を責めてはだめですよ。」

うまみの難病を告げられた時、落ち込む私に医師が言った言葉だ。

わかっている。
わかっているけど、なかなかそう思えないのだ。どうしても、責めてしまう。

その後も度々うまみのエアウェイは詰まってしまい、何度も何度もこの過酷な「エアウェイ挿管」を繰り返すことになる。ひどい時は挿管した翌日に詰まることも多々あった。
そのたびに、私は心の中で呪文のように「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」と繰り返すのだった。

経鼻エアウェイが、変わる

さて、その後うまみは何度も苦痛に耐えながらも、気管用のチューブを代用した「経鼻エアウェイ」を挿入し、1か月以上経過していた。
呼吸状態も安定し、医師からも

「この調子なら、家での看護も可能でしょう。」

と、言われていた。

しかし、前にも書いたように、この経鼻エアウェイは今までずっと私が練習してきた「経管栄養チューブ」とは全く比較にならない程太く、うまみの小さな鼻の穴に挿管するのは医師でも至難の業だった。

医師が言うには、うまみの鼻腔は他の子に比べて少し狭いらしく、もう少し成長するまではしばらく気管用のチューブを代用せざるを得ないとのことだった。

通常の「経鼻エアウェイ」なら、鼻用に作られたものなので、穴からビヨンと飛び出すこともなく、テーピングも楽で、もっとスマートな見た目になるそうだ。ただ、太さが気管用に比べると太いので、鼻腔が広がるまでは入らないとの事だった。

そんなある日、医師から提案があった。

「お母さん、そろそろうまみちゃんも大きくなってきたし、気管用チューブを入れてるから鼻腔も広がっているんじゃないかと思うので、鼻用の「経鼻エアウェイ」にチャレンジしてみませんか?」

「え・・・?」

なんとも複雑な気持ちになった。
本当に大丈夫だろうか・・・普通の経鼻エアウェイって、もっと太いんだよね・・・
ってことは、入れる時もっと痛いんじゃないのかな・・・
でも、入れば生活は楽だろうし、テーピングも楽になる・・・見た目もスッキリするなら・・・
いや、でも痛いのはかわいそうだし・・・

かなり悩んでいると

「もし、やってみて入りそうになかったら、無理せず今の気管用のチューブに戻しましょう。
チャレンジするだけしてみたらいかがですか?もしうまくいけば、うまみちゃん自身も授乳の時に邪魔にならなかったり、生活するには楽になると思いますよ。
あと、気管チューブ用のはチューブ自体がプラスチック製で固いんですが、鼻用の「経鼻エアウェイ」は太くはなりますが、シリコン製で柔らかいので入れる時の刺さるような痛みは少ないんじゃないかと思います。」

そう、この気管用チューブはビヨーンと鼻から突き出しているので、哺乳瓶での授乳の際にいつも当たって邪魔になっていたのだ。通常時もこの突き出たエアウェイが煩わしいのか触ってしまったり、引っ張ってしまったり、重そうに感じられることもあったのだ・・・。
そして今より柔らかいというのもよさそうな気がする・・・。

考えた末、私は通常の「経鼻エアウェイ」にチャレンジしてみることにした。
この決断が吉と出るか凶と出るか・・・。

つづく

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