うまみ(女)の記

連載:先天性の難病を持つムスメ⑨経鼻エアウェイ変更(GCU)

うまみ(女)の記
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経鼻エアウェイを変えた日

その日はやってきた。

そう、今まで気管用チューブで代用してきた経鼻エアウェイを、ついに通常の鼻用「経鼻エアウェイ」に変える日だ。

前回のブログでも書いたように、変更する「経鼻用エアウェイ」は素材が柔らかくソフトな感じになるが、太さが今までより太い・・・。
今まで内径3mmの気管用チューブを使用していたのだが、それより0.5mm太い3.5mmへの挑戦となる。

0.5mm・・・指で0.5mmを表わそうとすると、ほんの僅かな差に思えるかもしれないが、その僅か0.5mmが、赤ちゃんの鼻の穴に入れるとなると大きな差になる。

それまで使用してきた、気管用チューブの3mmでさえ、すんなりというわけではなかったので、本当に大丈夫なのか?入るのか?痛くないのか?など、様々な不安がこの日まで頭の中をずっと駆け巡っていた。

そして、ついに「経鼻用エアウェイ3.5mm」に挑戦する日がやってきたのだ。

その日は、朝からずっとソワソワ。
運転して病院へ向かう最中もずっと頭の中をその事だけが駆け巡ってしまう。
はじめてエアウェイを挿管されるうまみを見た日の事を思い出す・・・。
今でもエアウェイ挿管を見るたびに、胸が締め付けられるが、 今度はそれ以上にうまみに痛い思いをさせなくてはいけないのかと思うと、やる前から憂鬱になっていた。

そして、病院へ着き、うまみのところへ向かう。

ご機嫌に過ごしているうまみは、私が行くといつも嬉しそうに「にへ~」っと笑ってくれた。

その無邪気な笑顔を見るだけで、涙が溢れてきそうになる。

ついに「経鼻用エアウェイ」交換

涙をこらえ、心を落ち着かせ、うまみを抱っこした。

心の中で「うまみ、ごめんね。頑張ろうね。」そう語りかけると、うまみは無邪気に私の顔を覗き込んで、また「にへ~」っと笑った。

そこへ先生が現れた。

私は最後にもう一度、うまみを「ぎゅっ」と抱きしめ、
「大丈夫だよ。ママがついてるからね。」そう呟いて、そっとベッドに戻した。

先生が言った。

「お母さん、うまみちゃん、暴れると思うから押さえてもらっててもいい?」

「・・・・・・・・・・。」

今後の事を考えると、そんな日が来ることを考えてなかったわけでもないが、ショックだった。

「・・・・・はい。」

精一杯の力で返事をした。

手が震えてくる・・・・。
さっきまで私に微笑みかけてくれた愛しい娘に…痛がり、もがき苦しんでいるのを、暴れるのを力づくで抑えると考えただけで怖くて怖くて、どうしようもない気分になった。

でも、やらなくてはいけない。

そこからは、今までの「経鼻エアウェイ」挿管時と同様の手順で行われ、看護師1人と、母に押さえつけられたうまみは、 顔を真っ赤にして 大声で暴れながら泣き叫んだ。

さっきまでの穏やかな表情とは打って変わった、うまみの姿を再び見ることになってしまった。

しかも母親である私にとっては、今まで以上に精神的にきつい状況となった。
愛する我が子を押さえつける・・・
赤ちゃんながらに、精一杯の力を振り絞って、必死に抵抗しているのだ。
可哀そうだと思えば思う程、手に力が入らない・・・
うまみに振り切られてしまう。

「ちょっと!お母さん!危ないからしっかり抑えて!!」

「はいっ!!」

涙ぐみながら、必死で返事をした。

顔が熱い・・・汗が出る・・・手が震える・・・力が入らない・・・・

でも、なんとか精一杯の力を振り絞って、うまみを抑えた。

出血している!!

もうパニックになってしまった。

今までも何度か出血はあったが、間近で見ると恐怖心が増した。
まるで、虐待でもしているかのように感じた

無事挿管完了

そこからは、先生が何度も頑張ってくれ、パニック状態のまま無事挿管が完了した。

さすがは「経鼻用エアウェイ」。
テーピングは簡単なもので、1枚のテープで止めるだけで終わった。

泣き疲れ、ぐったりしたうまみを、急いで抱き上げた私はまた謝るしかできなかった。

「ごめんね・・・痛かったね・・・
ごめんね・・・つらかったね・・・
本当にごめんね・・・よく頑張ったね・・・
もうゆっくり休んでいいからね。
今日はずっとママが付いてるからね。
ごめんね・・・」

さっきまでうまみを押さえつけていたこの手で、今度はやさしくぎゅっと抱きしめた。

こんなママをうまみは嫌いになってしまうかな・・・。
痛い事をする人だって、敵だって思ったかな・・・。
明日からもう笑いかけてくれなくなるのかな・・・。

そんな風に思いながら、うまみが寝るまで、ずっと抱っこし続けた。

それからは、はじめてエアウェイを挿管した日のように高熱を出すこともなく、無事新しい「経鼻用エアウェイ」に移行することができた。

良かった点は、内径が大きくなったことで、中に詰まった分泌物を吸引しやすくなった事と、詰まりにくくなった事だ。これによって、今までより詰まることが少なくなるので、抜管・入れ替えする頻度が少しは減ったように思う。

何度も困難を乗り越えてきた、うまみ。
赤ちゃんなのに、本当によく頑張ってくれて、ありがとう。

顔もテーピングが楽になり、スッキリした顔になったので、

「うまみって、こんな顔だったんだ・・・」

と、そのスッキリした顔に、どこか新鮮さを感じていた。
やっぱり、テープは少ない方がいい。痛々しさが、見た目だけでも軽減された気がした。

その後もこの新しい「経鼻用エアウェイ」が詰まってしまい、を抜管・挿管することがあり、何度もうまみを抑えつけなくてはならない状況を経験した。

しかし、今度は医師から「次なる試練」を課せられることになるだった。

つづく

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